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正文 第26节

  ちの仲を疑いはじめるんじゃないかしら」

  「たとえそうなったとしても話のつづきを聞きたいですね」

  「一kcじゃあ屋根のあるところで話しましょう。今日はいささか冷えるから」

  彼女はテニスコートの手前を左に折れc狭い階段を下りc小さな倉庫が長屋のような格好でいくつか並んでいるところに出た。そしてそのいちばん手前の小屋の扉を開けc中に入って電灯のスイッチを入れた。「入りなさいよ。何もないところだけれど」

  倉庫の中にはクロスカントリー用のスキー板とストックと靴がきちんと揃えられて並びc床には雪かきの道具や除雪用の薬品などが積み上げられていた。

  「昔はよくここにきてギターの練習したわ。一人になりたいときにはね。こぢんまりしていいところでしょう」

  レイコさんは薬品の袋の上に腰をおろしc僕にも隣りに座れと言った。僕は言われたとおりにした。

  「少し煙がこもるけどc煙草吸っていいかしらね」

  「いいですよcどうぞ」と僕は言った。

  「やめられないのよねcこれだけは」とレイコさんは顔をしかめながら言った。そしておいしそうに煙草を吸った。これくらおいしいそうに煙草を吸う人はちょっといない。僕は一粒一粒丁寧に葡萄を食べc皮と種をゴミ箱がわりに使われているブリキ缶に捨てた。

  「昨日はどこまで話したっけ」とレイコさんは言った。

  「嵐の夜に岩つばめの巣をとりに険しい崖をのぼっていくところまでですね」と僕は言った。

  「あなたって真剣な顔して冗談言うからおかしいわねえ」とレイコさんはあきれたように言った。「毎週土曜日の朝にその女の子にピアノを教えたっていうところまでだったわよねcたしか」

  「そうです」

  「世の中の人を他人に物を教えるのが得意と不得意な人にわけるとしたら私はたぶん前の方に入ると思うの」とレイコさんは言った。「若い頃はそう思わなかったけれど。まあそう思いたくないというのもあったんでしょうねcある程度の年になって自分に見きわめみたいなのがついてからcそう思うようになったの。自分は他人に物を教えるのが上手いんだってね。私c本当に上手いのよ」

  「そう思います」と僕は同意した。

  「私は自分自身に対してよりは他人に対する方がずっと我慢づよいしc自分自身に対するよりは他人に対する方が物事の良い面を引きだしやすいの。私はそういうタイプの人間なのよ。マッチ箱のわきについているザラザラしたやつみたいな存在なのよc要するに。でもいいのよcそれでべつに。そういうの私とくに嫌なわけじゃないもの。私c二流のマッチ棒よりは一流のマッチ箱の方が好きよ。はっきりとそう思うようになったのはcそうねcその女の子を教えるようになってからね。それまでもっと若い頃にアルバイトで何人か教えたことあるけどcそのときはべつにそんなこと思わなかったわ。その子を教えてはじめてそう思ったの。あれc私はこんなに人に物を教えるのが得意だったっけてね。それくらいレッスンはうまくいったの。

  昨日も言ったようにテクニックという点ではその子のピアノはたいしたことないしc音楽の専門家になろうっていうんでもないしc私としても余計のんびりやれたわけよ。それに彼女の通っていた学校はまずまずの成績をとっていれば大学までエスカレート式に上っていける女子校でcそれほどがつがつ勉強する必要もなかったからお母さんの方だってのんびりとおけいこ事でもしてってなものよ。だから私もその子にああしろこうしろって押しつけなかったわ。押しつけられるのは嫌な子なんだなって最初会ったときに思ったから。口では愛想良くはいはいっていうけれどc絶対に自分のやりたいことしかやらない子なのよ。だからねcまずその子に自分の好きなように弾かせるの。百パーセント好きなように。次に私がその同じ曲をいろんなやり方で弾いて見せるの。そして二人でどの弾き方が良いだとか好きだとか討論するの。それからその子にもう一度弾かせるの。すると前より演奏が数段良くなってるのよ。良いところを見抜いてちゃんと取っちゃうわけよ」

  レイコさんは一息ついて煙草の火先を眺めた。僕は黙って葡萄を食べつづけていた。

  「私もかなり音楽的な勘はある方だと思うけれどcその子は私以上だったわね。惜しいなあと思ったわよ。小さな頃から良い先生についてきちんとした訓練受けてたら良いところまでいってたのになあってね。でもそれは違うのよ。結局のところその子はきちんとした訓練に耐えることができない子なのよ。世の中にはそういう人っているのよ。素晴らしい才能に恵まれながらcそれを体系化するための努力ができないでc才能を細かくまきちらして終ってしまう人たちがね。私も何人かそういう人たちを見てきたわ。最初はとにかくもう凄いって思うの。たとえばものすごい難曲を楽譜の初見でパァーッと弾いちゃう人がいるわけよ。それもけっこううまくね。見てる方は圧倒されちゃうわよね。私なんかとてもかなわないってね。でもそれだけなのよ。彼らはそこから先には行けないわけ。何故行けないか行く努力をしないからよ。努力する訓練を叩きこまれていないからよ。スボイルされているのね。下手に才能があって小さい頃から努力しなくてもけっこううまくやれてみんなが凄い凄いって賞めてくれるものだからc努力なんてものが下らなく見えちゃうのね。他の子が三週間かかる曲を半分で仕上げちゃうでしょcすると先生の方もこの子はできるからって次に行かせちゃうcそれもまた人の半分の時間で仕上げちゃう。また次に行く。そして叩かれるということを知らないままc人間形成に必要なある要素をおっことしていってしまうの。これは悲劇よね。まあ私にもいくぶんそういうところがあったんだけれどc幸いなことに私の先生はずいぶん厳しい人だったからcまだこの程度ですんでるのよ。

  でもねcその子にレッスンするのは楽しかったわよ。高性能のスポーツカーに乗って高速道路を走っているようなもんでねcちょっと指を動かすだけでピッピッと素速く反応するのよ。いささか素速すぎるという場合があるにせよね。そういう子を教えるときのコツはまず賞めすぎないことよね。小さい頃から賞められ馴れてるからcいくら賞められたってまたかと思うだけなのよ。ときどき上手な賞め方をすればそれでいいのよ。それから物事を押しつけないこと。自分に選ばせること。先に先にと行かせないで立ちどまって考えさせること。それだけ。そうすれば結構うまく行くのよ」

  レイコさんは煙草を地面に落として踏んで消した。そして感情を鎮めるようにふうっと深呼吸をした。

  「レッスンが終わるとねcお茶飲んでお話したわ。ときどき私がジャズピアノの真似事して教えてあげたりしてね。こういうのがバドバウエルcこういうのがセロニスアモンクなんてね。でもだいたいはその子がしゃべってたの。これがまた話が上手くてねcついつい引き込まれちゃうのよ。まあ昨日も言ったように大部分は作りごとだったと思うんだけれどcそれにしても面白いわよ。観察が実に鋭くてc表現が適確でc毒とユーモアがあってc人の感情を刺激するのよ。とにかくねc人の感情を刺激して動かすのが実に上手い子なの。そして自分でもそういう能力があることを知っているからcできるだけ巧妙に有効にそれを使おうとするのよ。人を怒らせたりc悲しませたりc同情させたりc落胆させたりc喜ばせたりc思うがままに相手の感情を刺激することができるのよ。それも自分の能力を試したいという理由だけでc無意味に他人の感情を操ったりもするわけ。もちろんそういうのもあとになってからそうだったんだなあと思うだけでそのときはわからないの」

  レイコさんは首を振ってから葡萄を幾粒か食べた。

  「病気なのよ」とレイコさんは言った。「病んでいるのよ。それもねc腐ったリンコがまわりのものをみんな駄目にしていくようなcそういう病み方なのよ。そしてその彼女の病気はもう誰にもなおせないの。死ぬまでそういう風に病んだままなのね。だから考えようによっては可哀そうな子なのよ。私だってもし自分が被害者にならなかったとしたらそう思ったわ。この子も犠牲者の一人なんだってね」

  そしてまた彼女は葡萄を食べた。どういう風に話せばいいのかと考えているように見えた。

  「まあ半年間けっこう楽しくやったわよ。ときどきあれって思うこともあったしcなんだかちょっとおかしいなと思うこともあったわ。それから話をしていてc彼女が誰かに対してどう考えても理不尽で無意味としか思えない激しい悪意を抱いていることがわかってゾッとすることもあったしcあまりにも勘が良くてcこの子いったい何を本当は考えているのかしらと思ったこともあったわ。でも人間誰しも欠点というのはあるじゃないそれに私は一介のビアノの教師にすぎないわけだしcそんなのどうだっていいといえばいいことでしょc人間性だとか性格だとかきちんと練習してくれさえすれば私としてはそれでオーケーじゃない。それに私cその子のことをけっこう好きでもあったのよc本当のところ。

  ただねcその子のは個人的なことはあまりしゃべらないようにしてたのc私。なんとなく本能的にそういう風にしない方が良いと思ってたから。だから彼女が私のことについていろいろ質問しても――ものすごく知りたがったんだけど――あたりさわりのないことしか教えなかったの。どんな育ち方しただのcどこの学校行っただのcまあその程度のことよね。先生のこともっとよく知りたいのよcとその子は言ったわ。私のこと知ったって仕方ないわよcつまんない人生だものc普通の夫がいてc子供がいてc家事に追われてcと私は言ったの。でも私c先生のこと好きだからって言ってc彼女私の顔をじっと見るのよcすがるように。そういう風に見られるとねc私もドキッとしちゃうわよ。まあ悪い気はしないわよ。それでも必要以上のことは教えなかったけれどね。

  あれは五月頃だったかしらねcレッスンしている途中でその子が突然気分がわるいって言いだしたの。顔を見るとたしかに青ざめて汗かいてるのよ。それで私cどうするc家に帰るって訊ねたらc少し横にならせて下さいcそうすればなおるからって言うの。いいわよcこっちに来て私のベッドで横になりなさいって私言ってc彼女を殆んど抱きかかえるようにして私の寝室につれていったの。うちのソファーってすごく小さかったからc寝室に寝かせないわけにいかなかったのよ。ごめんなさいc迷惑かけちゃってcって彼女が言うからcあらいいわよcそんなの気にしないでって私言ったわ。どうするcお水か何か飲むって。いいのcとなりにしばらくいてもらえればってその子は言ってcいいわよcとなりにいるくらいいくらでもいてあげるからって私言ったの。

  少しするとねすみませんc少し背中をさすっていただけませんかってその子が苦しそうな声で言ったの。見るとすごく汗かいているからc私一所懸命背中さすってやったのcするとごめんなさいcブラ外してくれませんかc苦しくってってその子言うのよ。まあ仕方ないから外してあげたわよc私。ぴったりしたシャツ着てたもんだからcそのボタン外してねcそして背中のホックを外したの。十三にしちゃおっぱいの大きな子でねc私の二倍はあったわね。ブラジャーもねcジュニア用のじゃなくてちゃんとした大人用のcそれもかなり上等なやつよ。でもまあそういうのもどうでもいいことじゃない私ずっと背中さすってたわよc馬鹿みたいに。ごめんなさいねってその子本当に申しわけないって声で言ったcそのたびに私c気にしない気にしないって言ってたわねえ」

  レイコさんは足もとにとんとんと煙草の灰を落とした。僕もその頃には葡萄を食べるのをやめてcじっと彼女の話に聞き入っていた。

  「そのうちにその子しくしくと泣きはじめたの。

  ねえcどうしたのって私言ったわ。

  なんでもないんです

  なんでもなくないでしょ。正直に言ってごらんなさいよ

  時々こんな風になっちゃうんです。自分でもどうしようもないんです。淋しくってc哀しくてc誰も頼る人がいなくてc誰も私のことをかまってくれなくて。それで辛くてcこうなっちゃうんです。夜もうまく眠れなくてc食欲も殆んどなくて。先生のところにくるのだけが楽しみなんですc私

  ねえcどうしてそうなるのか言ってごらんなさい。聞いてあげるから

  家庭がうまくいってないんですcってその子は言ったわ。両親を愛することができないし両親の方も自分を愛してはくれないんだって。父親は他に女がいてろくに家に戻ってこないしc母親はそのことで半狂乱になって彼女にあたるしc毎日のように打たれるんだって彼女は言ったの。家に帰るのが辛いんだって。そういっておいおい泣くのよ。かわいい目に涙をためて。あれ見たら神様だってほろりとしちゃうわよね。それで私こう言ったの。そんなにお家に帰るのが辛いんだったらレッスンの時以外にもうちに遊びに来てもいいわよって。すると彼女は私にしがみつくようにして本当にごめんなさい。先生がいなかったらc私どうしていいかわかんないの。私のこと見捨てないで。先生に見捨てられたらc私行き場がないんだものって言うのよ。

  仕方がないから私cその子の頭を抱いて撫でてあげたわよcよしよしってね。その頃にはその子は私の背中にこう手をまわしてねc撫でてたの。そうするとそのうちにねc私だんだん変な気になってきたの。体がなんだかこう火照ってるみたいでね。だってさc絵から切り抜いたみたいなきれいな女の子と二人でベッドで抱きあっていてcその子が私の背中を撫でまわしていてcその撫で方たるやものすごく官能的なんだもの。亭主なんてもう足もとにも及ばないくらいなの。ひと撫でされるごとに体のたがが少しずつ外れていくのがわかるのよ。それくらいすごいの。気がついたら彼女私のブラウス脱がせてc私のブラ取ってc私のおっぱいを撫でてるのよ。それで私やっとわかったのよcこの子筋金入りのレズビアンなんだって。私前にも一度やられたことあるのc高校のときc上級の女の子に。それで私c駄目cよしなさいって言ったの。

  お願いc少しでいいのc私c本当に淋しいの。嘘じゃないんです。本当に淋しいの。先生しかいないんです。見捨てないでそしてその子c私の手をとって自分の胸にあてたの。すごく形の良いおっぱいでねcそれにさわるとねcなんかこう胸がきゅんとしちゃうみたいなの。女の私ですらよ。私cどうしていいかわかんなくてねc駄目よcそんなの駄目だったらって馬鹿みたいに言いつづけるだけなの。どういうわけか体が全然動かないのよ。高校のときはうまくはねのけることができたのにcそのときは全然駄目だったわ。体がいうこときかなくて。その子は左手で私の手を握って自分の胸に押し付けてc唇で私の乳首をやさしく噛んだり舐めたりしてc右手で私の背中やらわき腹やらお尻やらを愛撫してたの。カーテンを閉めた寝室で十三歳の女の子に裸同然にされて――その頃はもうんなんだかわからないうちに一枚一枚服を脱がされてたの――愛撫されて悶えてるんなんて今思うと信じられないわよ。馬鹿みたいじゃない。でもそのときはねcなんだかもう魔法にかかったみたいだったの。その子は私の乳首を吸いながら淋しいの。先生しかしないの。捨てないで。本当に淋しいのって言いつづけてc私の方は駄目よ駄目よって言いつづけてね」

  レイコさんは話をやめて煙草をふかした。

  「ねえc私c男の人にこの話するのはじめてなのよ」とレイコさんは僕の顔を見て言った。「あなたには話した方がいいと思うから話してるけれどc私だってすごく恥かしいのよcこれ」

  「すみません」と僕は言った。それ以外にどう言えばいいのかよくわからなかった。

  「そういうのがしばらくつづいてcそれからだんだん右手が下に降りてきたのよ。そして下着の上からあそこ触ったの。

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